ノーベル賞・基礎研究という運ゲーにお金を出してください

2018年のノーベル医学生理学賞京都大学の本庶佑特別教授が輝いたことが、昨夜から国内で大々的に報じられている。

日本人研究者から、医学生理学賞の受賞者がでたことは、生命科学を専攻する身としても、大変うれしいことであります。

 

しかし、喜んでばかりではいられません。本庶先生が会見でも述べたように、基礎研究によりお金を投入してもらえるようにしていかなければなりません。こんかいの受賞成果がでた1991年の研究環境と比べ、今の大学における研究環境は大変厳しいものがあります。

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まず、毎年国立大学運営金が減額されていることをはじめ、研究資金も国からより企業と共同研究をし資金を獲得するよう圧力があります。当然、企業も将来リターンが得られる可能性が低いもにには投資しませんから、応用研究のうち特に、お金になる研究(=顧客が見込める研究)に投資します。これにより、研究資金の投資先は「選択と集中」されているように思います。

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国から支給される国立大学の運営交付金の予算額の推移。減少傾向にあり、文科省は各大学で外部資金を稼ぐ努力をするよう要請しています。

一方で、国立大学の使命として以下のものが提示されてます。

1)世界最高水準の研究・教育の実施
2)大規模基礎研究や先導的・実験的な教育・研究の実施
3)需要は必ずしも多くないが重要な学問分野の継承・発展
4)全国的な高等教育の機会均等の確保
5)地域の活性化への貢献
6)計画的な人材養成等への対応

このうち、今回の受賞研究のような基礎研究は3)に当たると考えられますが、基礎研究においては、将来どのように応用されるか不明であり(応用に値する成果はでないかもしれない。)、特に外部資金を得にくいため支援が必須であります。しかし、大学に投入される資金が減り続け、国家的な研究資金もある応用目標に基づいた競争的資金が多くなっている中、今回ノーベル賞がでたような、基礎研究から生まれる成果は出にくくなるのではないかと考えられます。

 

会見で本庶先生が述べていたように、偶然の発見を追い続けたからこそ、PD-1の発見と治療への応用という今回の成果になったわけです。このような偶然の発見を引き起こし、その発見を追える土台がなければ、新たなノーベル賞は期待できないばかりでなく、応用につながるシーズも枯渇してしまうのではないかと思うわけです。

 

基礎研究ができなければ、日本で先進的な研究は生まれず、海外研究の二番煎じだけになりかねません。

ノーベル賞受賞に沸き立つだけでなく、基礎研究にも資金を回せるよう国や国民に訴えかけることが、自然科学に携わる人の責務かなと思いました。

 

今日、考えていたことをとりとめなくまとめました。